Excelで数字を扱っていると必ずと言っていいほど小数点が発生する場面に直面します。
そんなときは、四捨五入や端数処理をする必要が出てきます。
今回は「売上予想一覧表」のようなものを例にしていっしょに作っていきましょう。
(b)E列に、10月の売上実績と伸び率から11月予想を求める。
(c)11月予想は、関数を用いて一の位未満を切り捨てる。
(d)F列に、11月予想と単価(384円)から売上予想額を求める。
(e)売上予想額は、関数を用いて千の位未満を切り捨てる。
(f)平均は、関数を用いて一の位未満を四捨五入する。
(g)伸び率は、%表示で少数第1位まで求める。
(h)数値には、3けたごとにコンマを付ける。
(i)表の体裁は見やすいように各自で設定する。
データの入力
まず、つぎのような表を作成します。
伸び率は「10月の売上実績÷9月の売上実績-1」で求めます。
「=C4/B4-1」と入力します。
「Enter」キーを押すとセルD4に「0.123053」が表示されるので、セルD8まで複写します。
端数処理の関数
(1)INT関数
11月予想は「10月売上実績×(1+伸び率)」で求めて、一の位未満を切り捨てます。
一の位未満を切り捨てて整数にするにはINT関数を用います。
INT関数=INT(数値)
小数の部分を切り捨てて、指定した数値を超えない最大の整数にする
使用例:
=INT(1.5)…1
=INT(-1.5)…-2
=INT(1)…1
注:ExcelのINT関数では、使用例のように、指定した数値の絶対値が同じであっても、正の場合と負の場合で、出力結果が異なります。
セルE4をクリックして「関数の挿入」ボタンをクリックします。「関数の挿入」ダイアログボックスで「INT」を選択して「OK」をクリックします。
数式パレットを移動して、数値を入力します。
①「C4*(1+D4)」と入力します。
②「OK」をクリックします。
セルE4に「809」が表示されるので、セルE8までコピーします。
(2)ROUNDDOWN関数
売上予想額は「11月予想×単価」で求めて、千の位未満を切り捨てます。
一の位未満を切り捨てるときはINT関数を用いましたが、それ以外の特定の位(けた数)を指定して切り捨てるときにはROUNDDOWN関数が便利です。
ROUNDDOWN関数 =ROUNDDOWN(数値,けた数)
数値を指定したけた数未満で切り捨てる
けた数は、求める位によってつぎの表のように指定します。
使用例:
=ROUNDDOWN(5,55.0)…5
=ROUNDDOWN(-5,55,1)…-5.5
=ROUNDDOWN(555,-2)…500
セルF4をクリックして[関数の挿入]ボタンをクリックします。
[関数の挿入]ダイアログボックスで「ROUNDDOWN」を選択してOKをクリックします。数式パレットを移動して、数値とけた数を入力します。
①「F2」と入力し、「F4」キーを押して「$F$2」とします。つづけて「*E4」と入力し、「Tab」キーを押します。
②「-3」と入力します。
③「OK」をクリックします。
セルF4に「310000」が表示されるので、セルF8まで複写します。
(3)合計と平均を求める
合計は「オートSUM」で求めます。
①セルB9をクリックして「オートSUM」ボタンをクリックします。
「Enter」キーを押すとセルB9に「2655」が表示されるので、セルF9まで複写します。
そしてセルD9の「0.799986」を「Delete」キーで消去します。
平均はAVERAGE関数で求めます。
セルB10をクリックして「関数の挿入」ボタンをクリックします。「関数の挿入」ダイアログボックス
「AVERAGE」を選択して「OK」をクリックします。
数式パレットを移動して、関数を修正します。
②セルB4をクリックしてセルB8までドラッグします。
③「OK」をクリックします。
(4)ROUND関数
平均を、四捨五入するROUND関数を用いて修正します。
ROUND関数=ROUND(数値、けた数)
数値を指定したけた数未満で四捨五入する。
けた数と求める位の対応は、ROUNDDOWN関数であげた表と同じです。
使用例:
=ROUND (23.45, 0)…23
=ROUND (-23.45, 1)…-23.5
=ROUND (23.45, -1)…20
①セルB10をクリックします。
②数式バーをクリックして、カーソルを「=」と「A」の間に移動させます。
③「ROUND」と入力して、カーソルを「B8)」のうしろに移動させます。そして「,0」と入力します。
「Enter」キーを押すとセルB10に「531」が表示されるので、セルF10まで複写します。そしてセルD10の数値を「Delete」キーで消去します。
(5) ROUNDUP関数
ROUNDDOWN関数(切り捨て)、ROUND関数(四捨五入)のほかに、切り上げをするROUNDUP関数もあります。
ROUNDUP関数 =ROUNDUP(数値、けた数)
数値を指定したけた数未満で切り上げる
けた数と求める位の対応は、ROUNDDOWN関数であげた表と同じです。
使用例:
=ROUNDUP (4.32, 0)…5
=ROUNDUP(-4.32, 1)…-4.4
= ROUNDUP(4.32 -1)…10
注:ExcelのROUNDDOWN・ROUND・ROUNDUP関数では、指定した数値の絶対値
およびけた数が同じであれば、数値が正であっても負であっても、出力結果は、同じになります。
表の完成
伸び率は%表示で少数第1位まで表示します。
①セルD4からD8まで範囲を指定して、[パーセントスタイル]ボタンをクリックします。
②範囲を指定した状態で[少数点表示桁上げ]ボタンをクリックします。
クイックアクセスツールバーのボタンで、数値に3けたごとにコンマを付けます。表の体裁は見やすいように各自で設定しましょう。
あとは細線のけい線を引いて表は完成です。
まとめ
端数処理
特定の位まで求めればよい計算で、計算した結果の値が求める位より下まで生じたとき、その数を端数といいます。端数は、四捨五入、切り上げ、切り捨てなどの方法で処理します。
【端数処理に使う主な関数】
INT関数
小数の部分を切り捨てて、指定した数値をこえない最大の整数にする
ROUNDDOWN関数
切り捨て
ROUND関数
四捨五入
ROUNDOUP関数
切り上げ